produced by 株式会社共立合金製作所 / エバーロイ商事株式会社

English Chinese

お電話からのお見積もり・お問い合わせ

06-6452-2271

技術情報・技術コラム

【長寿命・高精度化】超硬ロールとは?圧延・成形工程の課題を解決するメリット・デメリット

超硬ロールとは、主に金属やその他の材料の圧延工程に用いられる、超硬合金製の非常に硬いロール(円筒形の工具)を指します。 

超硬合金はタングステンカーバイドとコバルトなどを配合し焼結した材料で、鉄や鋼よりもはるかに硬度が高く、耐摩耗性に優れているため圧延ロールや成形ロールで使用されています。

ここでは圧延ロール、成形ロールについての解説、超硬化するメリット、デメリットを解説していきます。 

超硬素材の選定・加工は、まずエバーロイにご相談ください

圧延ロール

圧延ロールとは、主に金属材料の圧延加工に使用される円筒形状の工具です。圧延は、材料を上下のロールの間を通過させ圧縮し、所定の板厚や断面形状に加工する方法です。この際に材料を圧縮し、押しつぶす役割を担うのが圧延ロールです。

用途と種類

  • 用途:鉄鋼、アルミニウム、銅などの金属材料の板や棒、線、形鋼などの製造に使用されます。
  • 種類:
    • 作業ロール(ワークロール):実際に材料と接する部分
    • 支えロール(バックアップロール):作業ロールを支え変形を防止

圧延ロールの素材

圧延ロールは主に金属材料をロール同士で圧縮し所定の板厚や形状にするため、耐摩耗性や強度が必要になります。高炭素鋼や超硬合金といった特殊合金などを用いる場合もあります。これらの構造や材質は用途に応じて設計されています。

圧延ロールが使用される工程

圧延ロールが使用される工程としては以下の3つがあげられます。

  1. 熱間圧延工程:高温で軟化した金属を薄く延ばす
  2. 冷間圧延工程:常温で金属を精密に加工する
  3. プロファイル圧延:H形鋼、レールなど複雑な断面形状に成形する

このように圧延ロールとは、金属材料を押しつぶして形を整えるための円筒形状の工具であり、圧延機の主要部品の一つです。

特に高精度が求められる極薄板や箔材の圧延。高強度、難加工材(ステンレス、電磁鋼板、Ni合金、Ti合金等)の冷間圧延などには超硬製の圧延ロールが求められることもあります。

また、リチウムイオン電池の銅やアルミの集電体、二次電池セパレーター、導電箔などの表面粗さや均一性、厚みムラの低減が品質に直結するものの圧延にも超硬製の圧延ロールが使用されることもあります。

成形ロール

成形ロールとは、主に金属や樹脂、ゴムなどの材料を所定の形状に加工するために使用される円筒形状の工具です。工業分野においてはロール成形やロールフォーミングという加工方法で用いられています。

用途

成形ロールの主な用途としては、以下があげられます。

  1. 金属加工:鉄板やアルミ板などを曲げ、角パイプや波板などの断面形状に成形する
  2. 樹脂・ゴム加工:押し出し成形後の材料を表面加工したり、所定の厚さや幅に仕上げたりします

仕組み

複数のロールを組み合わせて材料をはさみ、連続的に送りながら徐々に変形させることで、材料を折らずに滑らかに所定の形状に成形していきます。 

主な特徴

成形ロールは連続加工が可能で大量生産に向きます。さらに精密で均一な断面形状が得られ、材料の無駄が少ない効率的な加工方法と言えます。 

そのため建材(屋根、壁面パネルなど)の量産や自動車部品のフレーム、電子機器筐体の外装などを生産する際に用いられます。 

また、超硬製成形ロールを用いることで、医療関係や電子機器向けの微細形状の成形や、シール部材、薄肉形状成形などでも、ロールの摩耗を抑えて形状精度を維持することが可能です。

超硬ロールを導入するメリットとデメリット

特に金属材料を圧延、成形加工する場合、圧延ロールや成形ロールの材質を超硬合金製に置き換えることで、一般的な鋼を使用したロールと比較し高硬度になるため、耐摩耗性が向上しロール自体の変形を抑制し工具の長寿命化を図ることが可能です。高精度を要求される製品製造や、過酷な生産条件下での使用には超硬合金製のロールが適しているといえます。

ただし、超硬を使用するために製造コストは高くなるということと、重量が重くなること、そして衝撃には弱くなるため割れるというリスクもあります。設計やロールサイズによっては制限がかかるということも認識しておくことが必要です。重量に関しては、一部分を超硬化し、鉄と組み合わせることで、ある程度は抑制することができます。

項目超硬ロール鋼製ロール
硬度◎ 非常に高い◯ 高い
耐摩耗性◎ 優れる△ 劣る
工具寿命◎ 長い△ 短い
加工精度◎ 高い◯ 良好
コスト△ 高い◎ 安い
靭性(割れにくさ)△ 衝撃に弱い◎ 粘り強い

まとめ

ここでは圧延ロールと成形ロールの材質を超硬化することをご紹介しました。超硬化することで得られるメリット、予想されるリスク、デメリットなどは前もって充分理解しておくことが必要です。

エバーロイ商事株式会社では、超硬素材選定・超硬製品開発・超硬精密加工に関するサービスを提供しています。素材開発から精密加工まで一貫したソリューションを提供しており、お客さまの課題やニーズを的確に把握し解決に導きます。

圧延ロール、成形ロールに関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

超硬素材の選定・加工は、まずエバーロイにご相談ください

この記事を監修した人

エバーロイ商事株式会社

大久保 文正

エバーロイ商事株式会社

昭和33年の設立以来、長年にわたり超硬工具の販売。
その製品はエバーロイの名で、広く多くのお客様からご支持をいただいております。
技術革新の激しい時代の中、お客様のあらゆるニーズに対応すべく、製販一体となって当社のオリジナリティを生かした営業活動を推進して参ります。

超硬素材・超硬加工 ソリューションナビを運営するエバーロイは、
素材選定・開発~精密加工、完成品提供までの一貫したソリューション提供により、
皆さまの課題を解決します。

ご相談・お問い合わせ 技術資料ダウンロード